とわホールについて

とわホールSTORY

私の人生を変えたお葬式

お葬式は大切な人に「感謝」を伝える場

お葬式は「感謝」を伝える場。しかし、悲しみや苦しみ、別れなどマイナスな言葉をイメージされる方が大半だと思います。確かにお葬式は悲しい出来事です。以前は、お葬式には暗いイメージを彷彿とする言葉しか似合わないと思っていました。あるお葬式の担当をするまでは...

ある夏の日のこと。私は、いつものようにお葬式の担当をしていました。当時は主流だった、ご自宅でのお葬式。アブラゼミの声が聞こえ、額には玉のように汗が出るような、とても日差しの厳しい昼下がり。その日の故人さまは、80代後半のおばあちゃま。私はいつものように担当をして、いつものように通夜が終わり、そして、いつものようにお葬式の進行を勤めていました。

この地域ではお葬式が終了してから火葬をする習わしがあるため、お葬式が終わると、ご出棺までの間に最後のお別れ式を行います。お棺の蓋を開き、多くの方から頂戴したお花を故人様に手向ける儀式です。

悲しみの中で、祭壇の前に30人ほどのご親戚が集まりました。そして一人ひとりがおばあちゃまにお花を手向けます。私にとってはいつもの出来事のはずでした。

ところが、その時は違いました。いつもなら、涙の中で言葉少ないお別れ式のはずが、この日のお別れ式はこんな言葉で始まったのです。

「おばあちゃん、ありがとう」

すると、次から次へとありがとうの言葉が広がって行くのです。「母さん、ありがとう」「姉さん、ありがとう」「おばあちゃん、ありがとう」一人ひとりが涙ながらに、感謝の言葉とともに、お花を捧げられました。そして、全ての方が「ありがとう」を最後の言葉に選んだのです。

私はいつの間にか感動のもらい泣きをしていました。そして同時にとても不思議な感覚を覚えました。今までお葬式にはマイナスの言葉しか似合わないと思っていたのに、「ありがとう」という日本語で一番素敵な言葉が似合うのです。

私にとってこの気づきは、驚きであり、そして喜びでもありました。この日以来、私のお葬式に対する考え方は、大きく変わりました。

お葬式は大切な人に「感謝」を伝える場なのだ、と。